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幅12.5cm ×12.5cm 高さ8.5cm
藤平寧様による「茶盌」は、詩的な美と機能美が融合した作品で、日常に静かな感動をもたらします。白い土にたっぷりとかけられた白い釉薬が織りなす柔らかな表情の中に、青い模様が淡く浮かび上がり、まるで雨や藤の花を思わせる詩情豊かなデザインが特徴です。この茶盌は、轆轤を使わずに手捻りで成形されており、自然なフォルムと細やかな手仕事の温かみが感じられる逸品です。
「茶盌」の表面には、水面に墨を垂らしたかのような青い模様が浮かび、その繊細な揺らぎが見る者に穏やかな印象を与えます。模様の不規則な広がりは偶然性を感じさせつつも、全体として調和が保たれています。その青い模様は、見る角度や光の当たり方によって様々な解釈を引き出し、雨のしずくや藤の花など、自然の情景を彷彿とさせます。
釉薬の白は純粋でありながら、青とのコントラストによって深みを与えられ、静けさと優しさを兼ね備えた色彩の美が作品全体を包んでいます。この色彩表現は、藤平寧が持つ卓越した技術と感性によるものであり、他の作品には見られない独自性を際立たせています。
藤平寧様の「茶盌」は、轆轤を使わずに一つひとつ丁寧に手捻りで成形されています。この技法により、器には微妙な歪みや柔らかな曲線が生まれ、自然な温もりが宿ります。そのため、工業製品のような均一さとは一線を画し、まるで自然界からそのまま生まれたかのような有機的な形状を持っています。
また、手捻りによる造形は、持った際の手触りや重心のバランスにも優れており、実用性と美しさを兼ね備えています。手に取るたびにその計算された心地よさと、作り手の心が伝わってくるような感覚を味わうことができます。
この茶盌は、茶道具としての実用性だけでなく、インテリアとして飾るだけでも空間に品格をもたらす存在感を持っています。その静謐な美しさは、使用者に心の落ち着きを与えるとともに、場の雰囲気を格調高いものに変えます。
また、この茶盌は見る者の想像力を掻き立てる作品でもあります。青い模様が浮かぶ白い釉薬の表情は、静かな雨の日や春の藤棚を思い出させ、詩的な情景を呼び起こします。これは単なる器を超え、鑑賞するたびに新たな発見をもたらす「日常の中の芸術」としての価値を持っています。
藤平寧様の作陶には、父である藤平伸様の影響が色濃く反映されていますが、それにとどまらずご自身の新しい表現も追求されています。父が築いた「陶の詩人」としての伝統を受け継ぎながらも、寧は現代的な感覚を取り入れることで独自の世界観を築き上げました。
この「茶盌」にもその哲学が現れており、伝統的な轆轤の使用を排して手仕事の温かみを重視しつつ、釉薬の使用や模様の表現において新たな試みを取り入れています。その結果、作品には過去と未来が共存するような深みが与えられています。
「茶盌 藤平寧」は、自然の美しさと詩的な感性が融合した一品です。轆轤を使わずに生み出された自然なフォルム、白と青の釉薬が織り成す柔らかな色彩、そして使うたびに心を和ませる手触りの良さが、見る者・使う者に特別な体験を提供します。
伝統の中に新たな美を探求する藤平寧様の作品は、単なる茶道具としてだけでなく、日常生活に詩情をもたらす芸術品として、多くの人々の心を魅了し続けています。この茶盌を通じて、藤平寧が創り出す陶芸の世界に触れ、深い静けさと豊かな情緒を味わってみてください。
≪藤平寧 陶歴≫
1963 京都府に生れる 父は藤平伸
1988 京都府立陶工職業訓練校を修了 日展入選(以後2回)
1989 京展 あかね賞(‘90 市長賞) 日本陶芸展 入選
1990 現代朝日クラフト展入選(以後4回)
1991 陶芸ビエンナーレ 奨励賞 全関西美術展 佳作(’92 同賞)
1992 京都工芸ビエンナーレ 入選 朝日陶芸展 入選
1993 全関西美術展 関西賞第二席
2008 パラミタ陶芸大賞展 出品
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